あらすじ
エスリカーナ王国に仕えていた政務補佐官・クラウスはその器用さから
数年ごとに各省を渡り歩き、上司の無茶振りを引き受けていたが、
補佐官以上に昇格することはできずにいた。
そして彼の存在を軽視した上司に失敗の責任を被せられ、
三十代半ばにして仕事を失うことになる。
左遷という名目で実質追放されたクラウスは、王都から遠く離れた
山奥の村で管理官見習いとして住むことになる。
「仕事を辞めたら山奥で暮らしたいと思っていたし、ちょうどいい」
右も左も分からない山奥での暮らし――のはずが、クラウスは
王国のあらゆる業務を補佐官として行ってきた結果、山村を住みやすく
変えていくには十分な能力を身につけていた。
一方、クラウスを頼りにしていた人々が彼に会いにやってくるのだが、
山奥で伸び伸びと生きている彼を連れ戻すことはできず、逆に悩み事を
相談したり、王都での暮らしの疲れを癒やされたりと、もてなしを受けて
山奥暮らしの良さを知っていき、住民が増えたり増えなかったりしながら、
クラウスの住む村は思いがけない規模へと発展していく。