あらすじ
俺――大日向修太郎(おおひなた・しゅうたろう)に、ある日婚約者が出来た。
家業の経営が傾き掛けた我が家を支援してもらう代わりに、俺が大金持ちの家の令嬢の将来の結婚相手になるという取引が交わされたのだ。
「私に何か文句があるの? 修太郎さん」
しかし、その婚約者、東城梨乃(とうじょう・りの)と俺の相性は最悪だった。
厳しく冷たい性格で、常識も価値観も違う。
投げ掛けられる言葉は常に鋭く、いつも心をえぐられる。
更に、俺を東城家の後継者として相応しい人間にするべく、時には『矯正』という名目で重い罰を与えてくる。
「修太郎、大丈夫?」
モラハラ塗れの生活に陥り、精神的に疲弊していた俺は、ある日幼馴染みの夏前蜜香(なつまえ・みつか)と久方ぶりに顔を合わせた。
子どもの頃からずっと一緒。
将来は結婚しよう――なんて、微笑ましいやり取りもした者同士。
互いに奥手ながらずっと意識し合い、同じ学校にも進学し、恋人になる寸前の関係だった。
しかし、俺達は引き裂かれ、もう恋人にも……一緒になることも出来ない。
心の弱った俺を前に、蜜香は言う。
「修太郎、アタシと結婚しよう? ごっこでいいから」
偽物でも、お遊びでも、ただこの現実から離れて理想の人と一緒になる夢を見たかった……だけだった。
初恋の幼馴染み同士、密かに紡ぐ。
所詮遊びの『結婚ごっこ』に、俺達は次第にのめり込んでいく――。