あらすじ
二〇五六年、地球はゾンビが渋滞する死の惑星に転落している。
街の外で人が亡くなると、残された遺族は大変だ。
家族の行方を確かめるため、人を送るべきか悩んだり、
あるいは行き違いになりそうだから、黙って帰りを待つべきかためらったり。
年月が経つほど、心と金をすり減らせ、孤独な戦いの中で、あえぎ苦しむ。
だからこそ消息は、なるべく早く届けるべきだ。
ところが、死んだ人の消息ばかりは、自分で届けるわけにもいかない。
だからオレたちが、依頼人を代理して、故郷に消息を届ける旅を続けている。
ただしこの仕事は、人から必要とされることはあっても、誰からも感謝されることはない。
何せ、他の業者は手に入れた消息を、平気で脅しに使っている。
遺族の前で、「自分だけはその消息を知っている」とチラつかせ、強請り、脅迫し、ありったけ金品を巻き上げる。そうして手に入れた莫大な報酬で、車や列車に食わせる油を買い、この世で最も安全な旅を続けている。この業界は、そんな連中が大半だ。
オレたちは、車も列車も持たない消息代理人だ。損を覚悟で、義理堅く仕事するしかない。
運ぶ旅も命がけなら、手渡す瞬間も命がけだ。