あらすじ
雷鳴が轟き、ショップがカタカタと揺れる嵐の日。一匹のシャム猫が忽然と姿を消した。ショップを探し回ってもいない。
――どこにいるんだろう。
「咲月、えらい不安そうじゃない」
「まあ、すぐに見つかりますよ宮田さん」
トリマーの富岡と浅田が私を励ましてくれるが、胸中は黒雲のごとく、重苦しい気体がグルグルと渦巻いていた。
そして次の日の朝、シャム猫はびしょ濡れで発見された。白目を剥き、舌をだらんと垂らして、発見された。
――この出来事が、「ショップ・ミラクルアース」の地獄の始まりの門に過ぎなかったことを、当時の彼らは知る由もない。