あらすじ
もし、何の取り柄もなければ特徴もない、物語でいう所謂『エキストラ』が、主役であるお姫様に出会ったらどうする?
話す?仲良くする?はたまた、自分もメインキャストに成り上がるために利用する?
「俺と、友達になってください!」
例えばこれは、とても愚かなエキストラAが放った言葉である。
誰に放ったかというと、それは『ヒロイン』。
ならもしそのエキストラAが平凡な人生を望んでいたとしたら、先ほどの答えは何になるだろうか。
答えは、『何もしない』だ。
俺だったら関わらず、ハッピーエンドでもなければバッドエンドでもない、どこにでもあるありふれた人生を目指す。
だって、エキストラにはエキストラなりの役割があり、それをまっとうするという義務があるのだから。
だから、俺はお姫様とは関わらない。……………関わりたくない、はずだった。
それなのに、なぜ。
いや、答えはきっと元から提示されていたのだ、ずっと、ずっと前から。
「なあ雫………ちょっと近くないか?」
「普通だよ、『友達』なんだから」
――――ああそうだった、なぜ俺がお姫様と関わっているかって?
だって…………愚かなエキストラAは俺自身のことで、そして先ほどのその言葉を伝えられた『ヒロイン』は、姫宮雫―――――『眠れる姫には話しかけることなかれ』―――――それが鉄則となっている、難攻不落の『眠り姫』に届いていたのだから。