あらすじ
風向織斗がその少女・佐倉優季奈と出逢ったのは偶然だった。
普段とは違う、たまたまの行動が二人を結びつけたのかもしれない。
優季奈は病室のベッドの上で半身を起こし、静かに窓の外を眺めていた。
寂しげな横顔に、織斗は思わず立ち止まり、魅入ってしまった。
ふと振り向いた優季奈と目が合う。
織斗の口から零れ落ちる。
「天使が、いた」
不思議な縁で繋がった二人は、優季奈の病室で互いの想いをゆっくりと育んでいく。
互いに秘めた想いは心に閉じ込めたままだ。
そんな二人に別離の時がひたひたと迫っているなど、この時には知る由もなかった。
再び季節は巡り、出逢ってからおよそ一年、非情なまでに二人の間は引き裂かれていった。
織斗の前に広がる世界は、この瞬間、灰色に染まってしまった。
それから、三年の歳月が流れた。
織斗の前に一人の少女が転入生として現れたことで状況が一変する。
鞍崎凪柚と名乗った少女はいったい何者なのか。
何の目的があって、織斗の前に現れたのか。
とある事件をきっかけにして、鞍崎凪柚の秘密が一つずつ紐解かれていく。
そして、鞍崎凪柚の正体が分かった時、織斗を待ち受ける運命が動き出す。
互いにただ一人を想い合う。
そして、果たせなかったあの時の約束を今度こそ果たす。
二人の願いが叶ったと同時、再び別れが訪れようとしていた。
樹齢千年を優に超える、威風堂々たる一本桜が見守る中、好きはやがて恋に変わり、さらに歳月を経て愛へと昇華する。
一途な愛を捧げ合う二人の永遠の物語は、どのような結末を描き出すのか。
【主要登場人物】
風向織斗(かざむかいおりと)
佐倉優季奈(さくらゆきな)/病室の少女
鷹科綾乃(たかしなあやの)/響凛学園高等学校での織斗の同級生
真泉汐音(まいずみしおん)/響凛学園高等学校での織斗の同級生
鞍崎凪柚(くらさきなゆ)/謎の転入生
風向敏孝・沙織/織斗の両親
佐倉光彰・美那子/優季奈の両親
鞍崎慶憲/優季奈の叔父で美那子の兄
加賀恭臣/鳳翼総合医療センターの循環器内科医師、織斗の主治医
長谷部智裕/鳳翼総合医療センターの血管内科医師、優季奈の主治医
河原崎達哉/響凛学園高等学校の保険医