あらすじ
あの大手チェーンのハンバーガー屋の気が狂った。
地域ごとに、商品の価格を変えることにしたのだ。都市部、空港など土地の賃料が高いゆえに生まれた差だとは思うが、狂ったというのはそれが理由ではない。
この町の店だけ、ハンバーガー一個の価格が、なんと驚異の一万円にまで跳ね上がったのだ。
学校帰り、俺は親友の大下と一緒に様子を見に、と、あれは……
「お、おい! 小坂! お前、なにしてんだ!」
「そうだぞ、正気か? 今、お前、中に入ろうとしたんだぞ」
ふらふらと弱った蚊のような動きで店のドアに向かっていた小坂を見つけた俺と大下は慌てて小坂を引き留めた。
小坂は「あ、あ、あ、あ」と両手を前に出し、震わせた。
「お、おれ、ただ、気になって、でも、見てたら、きゅ、急に食べたくなってぇ……」