あらすじ
ホストとして幾人もの女性客を抱え、眠らない夜の街で華やかな成功を手にしていた男。しかしその成功は「本来の自分」が眠り込み、あらゆる感覚を閉ざしていたからに他ならなかったーーー。
昼の世界に放り出された「僕」に訪れた、本物の恋愛に発展するかも知れない機会。しかし「僕」は彼女に対して、飾らない「本来の自分」としてではなく、ホスト時代の自分とシャイな本来の自分を足して割ったような、中途半端な「ないまぜの男」として接してしまう。
夜の世界に置いてきたはずの自分の影が、亡霊のようにまだ僕にまとわりついていた。
(短編集『ワーキング・クラス・ラヴァーズ』収録)