あらすじ
そこには、本を抱えた少女が立っていた。
私と少女の間には、十二月の凍えるような冷たい風が吹き抜けている。
そう、ここは七階の建物の屋上であり、その端に少女は立っているのだ。
可能性を察した私は少女を止めようと駆け寄った。
否、正確には駆け寄ろうとした。
此方に気付いた少女が、笑ったのだ。驚くほど無邪気に、そして少し不気味に。
呆気に取られていると、少女は静かに足を踏みだした。
「貴女は物語が好き?人は何故物語を書くのかな」
「皆、色々な悩みを抱えてる。それに大小は関係ない」
「言葉は綺麗が故に、また綺麗に人を傷つける」
「そんな物書きになりたいな」
これは「人が物語を書く理由」を知る為に始まった、誰かの少し変わった思いつきだ。