あらすじ
1985年、静岡県に生まれた福永ルカは、物心ついた頃には両親からネグレクトされて育ち、誰の助けも受けられないまま、小学生時代を過ごした。給食だけが彼女の支えだった。母親の蒸発をきっかけに、中学から横浜の祖父の家に引き取られるも、大学時代にはその家にも帰れなくなり、ネットカフェを転々とする生活を多種多様なアルバイトで支えながら、就職活動を経て大手企業への就職を果たす。「やっと自分だけの力で生きていける」というルカの希望は、「保証人なしでは賃貸契約ができない」という社会の慣習によって簡単に踏みにじられた。それでも、たまに花を一輪だけ買うというささやかな行為に幸せを感じながら、会社からの果てしないノルマを黙々とこなすことで営業成績はトップとなり、リーダーとして東京の支局へ栄転する。しかし、それはルカの能力が評価されたというよりも、女性リーダーを増やすという会社の思惑からのものだった。
東京での生活の中で、ルカは関俊介と出会い、俊介の作る手料理に安らぎを感じるようになっていく。ルカが手料理を食べるのは生まれて初めてのことだった。同じ頃、ずっと会わないようにしていた父親が脳梗塞で倒れたという知らせが入る。子どもを育てる義務を放棄していた父親の介護義務を、ルカは法律上、放棄できない現実を知った。法律は常にルカの自立を邪魔する。