あらすじ
「黒令嬢のラリアが来たわよ」
「本当だ……やっぱり怖い顔ね。近づきたくないわ」
十六歳を過ぎた頃、私に黒令嬢というあだ名がついた。
理由は単純明快、私が常に笑顔も見せず、眉間にしわを寄せているから。
そして十八歳になり学園を卒業しても、未だ私に婚約者は出来なかった。
同級生の何人かは既に結婚までしていて、私以外に婚約者が決まっていない人はいないだろう。
どうしてこうなってしまったのだろうか……私は自分の性格が本当に嫌いだった。
しかし、そんな私にも転機が訪れる。
十八歳になって半年後、私の婚約者が突然に決まったのだ。
「ラリア。喜べ、あの聖人貴族ターナー君から縁談が来たんだ。もちろん受けるよな?」
私よりも二つだけ年上の公爵子息ターナーは、聖人貴族とあだ名されていた。
整った顔立ち、すらっと高い背、優しい性格、悪い所なんて一つも見つからない彼のことを、人々は自然にそう呼んだのだ。
だが、私は気づいてしまう。
聖人と称えられる彼の裏の顔に……