あらすじ
彼女は、自分の失敗を振り返り、そして同じ過ちをせぬよう心がけた。
『誰かを傷つけている者がいるのなら、それを正す』──それがシャーロットの、第二の人生での行動指針である。
ゆえに今回も、彼女は『自分のせいで怪我人が出た』という状況に居ても立ってもいられなくなり、保健室にやってきたのだった。
「ええと……」
そんな経緯を経てやってきたのは保健室。
扉の前で逡巡するように立ち尽くしてしまったシャーロットに対し、室内から声がかけられた。
「あの、シャーロットさん? 入って大丈夫ですわよ」
「あ……っ」
その声──リネットの声に背中を押されるようにして、シャーロットは室内へと足を進める。
保健室の中では、白衣を着た女性教諭が椅子に座っていた。養護教諭だ。
彼女はやってきたシャーロットを見て僅かに目を瞠ったものの、すぐにその表情を柔和なものに変えて口を開いた。
「どうしましたか?」
優しく問いかけられ、シャーロットは胸の前で手を組んで答える。「あの、私のせいでお怪我をさせてしまって……。治療のお手伝いをさせてください!」
「……そうでしたか」
リネットは困ったように笑いながら、シャーロットに席を勧めた。
「ではこちらへ」
シャーロットが椅子に腰かけると、リネットが膝掛けを渡してきた。
「冷えは傷に悪いですから」
そう言って微笑む彼女を見て、シャーロットも釣られて笑みをこぼす。
(なんて優しい先生なんだろう)
そんな思いが脳裏を過ぎった。だが同時に、彼女がシャーロットの行為に何を思っているのかが気になり始める。
「あの……それで、先生はなんとおっしゃいましたか?」
シャーロットはおずおずと尋ねた。するとリネットは変わらず微笑みながら答える。
「貴女のことは特に何も」
(……あ)
その答えで察した。
彼女は自分のしたことを不問としてくれているのだと。シャーロットは自分の心が救われるのを感じた。
(先生みたいな人が一人でも増えてくれたらな……)
それはシャーロットの心からの願いである。
そんな思いを抱きながら、彼女はリネットの治療を手伝うことにした。
「では……まずは患部を見せてもらってもいいですか?」
リネットの言葉に、シャーロットはおずおずとブラウスの袖をまくり上げた。
するとそこには痛々しい傷が刻まれている。それを見て僅かに眉をひそめると、彼女は消毒液を手にとった。そしてそれをそっと傷口に塗る──瞬間、シャーロットの顔が苦痛に歪むが、なんとか声を漏らすことなく耐える。
「大丈夫ですか?」