あらすじ
「あの英雄――『黒騎士』の正体は、実は伯爵家の恥さらし。だそうですよ、ご主人様」
「ちくしょうがぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッ!!!」
英雄や騎士団長など、多くの才ある人間を輩出してきた由緒正しき騎士家系に、一人の少年がいた。
その少年───アデルは何も才能もなく、日々自堕落な生活を送っており、そのため家族からも世間からも『恥さらし』と呼ばれていた。
しかし、アデルが実は人々を救ってきた英雄───『黒騎士』であることが判明する。
「マズい、このままでは馬車馬街道への片道切符が無料配布されることに……ッ!」
「ご当主様もご家族も急いで屋敷に戻ってこられているみたいですし、逃げ場はありませんね」
侯爵家の恥さらしが、実は人々を救ってきた英雄だった───なんて話が広まれば、家柄故に間違いなく騎士として活躍させられることになる。
そうなれば、望む自堕落ライフは遠のくだろう。
だから───
「そうだ、学園に逃げよう!!!」
学園は三年間、全寮制。
ほとぼりが冷めるまで逃げるには絶好の場所。
それ故に、アデルは学園への入学を決意した。
ただし───
「は!? 本気を出さないと退学ってマジかよ!?」
「ふふっ、であれば本気を出すしかありませんね……ご主人様♪」
そこは王国一の学園、弱者を拒む実力主義。
あの『黒騎士』が本気を出したらどうなるのか?
そして、学園に通っても優しい英雄は、王女や聖女、久しぶりに会う兄妹───次々と出会う困っている人を放っておけるのだろうか?
「無理でしょうね……まぁ、それが私の惚れた理由でもあるのですが♪」
「ん? 何か言ったか?」