あらすじ
海上およそ20メートル。船の甲板に座り込み、ぶら下がる干物を眺めながら、私は大きく息を吐いた。
あれらは何なのか……。言わば海へ捧げる供物だったのか。大きな計画の際の安全祈願のようなものか。
知るには神に直接会って訊ねるほかない。必ずそうしよう。必ず……。
『君たちには今から深海へ行ってもらうよ』
これは比喩でもなんでもない。今、俺たちがいるのは海に浮かぶ船の上。潜水服の中。
そしてこれも比喩ではない。社長のお言葉には絶対服従。神と思えが、わが社の社訓。
就職難の昨今。むろん、選り好みしなければ就職そのものはできるかもしれないが、それも新卒ならの話。俺のように大した経歴もなく、ブラック企業から逃げ出した男を正社員で雇うところは中々ない。