あらすじ
「婚約破棄に……本当にしたいの?」
僕はルルナから、そんなことを言われた。
「……どうして?」
「なんとなく」
ルルナの声色はいつも通りで、顔からも表情は読み取れない。
「……したいわけじゃないよ」
僕は首を横に振る。
「そう」
ルーナはそっけなく答え、またベッドの中で丸くなる。
僕はそんなルルナを見ながら、彼女のことを考える。
彼女は病弱で、僕の婚約者だ。
名前はルルーナ・リルティルという。
この国では珍しい名字を持っていることからも、彼女が他の国から来たことが分かる。
そんな彼女は生まれつき体が弱く、ほとんどをベッドの上で過ごしている。
彼女から初めて好きだと言われたのは2か月前のことで、彼女が10歳の時に出会った時だ。それ以来僕たちの関係はずっと変わらず、彼女は僕が婚約することに喜びを感じていた。
それからは毎日のように彼女の家を訪ね、一緒に彼女の部屋で過ごしている。
そんな日々を過ごしている中で、僕はルルーナのことが大切だということに気づいた。
だから僕は彼女に結婚を申し込んだ。
彼女を守りたかったから。
しかし僕の元にはルルナを婚約者から破棄したいという手紙が届くようになり、それが僕を悩ませるようになったのだ。
「ごめんね、ルルナ」
「謝る必要はないけど……」
ルーナは起き上がり、僕を見る。
「それよりもあなたはどうするつもりなの?」
「……分からないんだ」
「そう」
ルーナはベッドに腰かける。
「あなたらしくもないわね」
「そうだよね……」
僕は力なく笑う。
「……」
ルーナは何も言わずに僕に近づき、そっと手を握る。
彼女の手はとても冷たくて、体温を感じ取ることができないほどだった。
そんな冷たさを感じながらも、僕は彼女の手を優しく握り返す。
それから数時間が経ち、僕たちは眠りについた。
2人で一つのベッドに入り、お互いを抱きしめながら眠りにつく。
彼女の体温を感じながら、僕はゆっくりと眠りについた。
それから数日後のこと。
「僕はルルナのことが好きだ」
「私もあなたのことが好きよ」
2人でカフェでランチを食べながら、僕たちは他愛もない会話をしていた。
そんな時、突然僕の前に男性が現れる。彼は僕とルルナを見下ろしながら言った。
「お前たちは婚約関係にあるらしいじゃないか?」
その言葉に一瞬戸惑ったが、すぐに僕たちの関係を思い出す。
どうやらこの人はルルナのお見舞いに来た人らしく、ルルナの病気のことで何か話したいことがあるらしい。
「はい、そうです」
「それならちょうどいい。今すぐ破棄したらどうだ?」
「えっ?」
突然の提案に僕たちは困惑する。
「お前たちが婚約関係にあることは知っているが、俺はルルナにこれ以上苦しんで欲しくないんだ」
男性は静かに答える。
「どうして……」