あらすじ
婚約破棄された悪役令嬢の私はとある場所に転生した、どうやら乙女ゲームの中らしい。
「これで私も悪役令嬢の仲間入りね!」
と、喜んだのは最初だけ。
何しろここはゲームの世界とはいえ、実際に私が生きる世界だ。
なので当然だが攻略対象には嫌な奴もいるし、最悪な事態に陥るかもしれない。
そんな事を考えてはいたものの、私はどこかで油断していたのだろう。
悪役令嬢だと気付いたが何も変わらず、攻略対象達と接したり学園生活を楽しく過ごしていたのだ。
そんなある日の事である。
「私、貴女に婚約を破棄されたくないので」
攻略対象の第二王子が、私にそう言ってきたのだ。
「あら? それは私と婚約したいという事ですか?」
「うん! 婚約者になって!」
その言葉に私は軽く首を傾げて考える。
悪役令嬢は婚約破棄されて退場するというのが私の知っている物語。なのでこの申し出は嬉しいと言えば嬉しいのだが……。
(でもこれって現実なんだよね)
ここはゲームの世界で、実際の私は普通の女子高生だ。
そんな私がこんな立派な王子さまと婚約していいのだろうか?
「私と婚約してもいいのですか?」
私は王子さまに尋ねる。
すると彼はきょとんとした顔をして私を見る。
「なんで?」
「何故って……それは……」
(ゲームでは悪役令嬢は婚約破棄されるのに……)
そんな私の思いを王子さまが知るよしもない。
「だって婚約したらずっと一緒だよ? もう君が遠くに行く事はないし、それにお兄ちゃんにいつでも会えるじゃない」
「……そうですわね」
(そう言えばこの人シスコンだったわ)
いつも妹にべったりで、学園の生徒達からは王子の威厳がないだのなんだの言われている。
だが妹の事が大好きな王子さまと悪役令嬢はお似合いかもしれない。
(それに、この婚約破棄される事を考えたら……)
私は笑顔で頷いた。
「ではお願いします。私、貴方の婚約者になりますわ」
「うん! よろしくね!」
そんな訳で私は攻略対象である王子さまと婚約してしまったのだ。