あらすじ
「い、いきなり何をするんですか!」
突然腕を引っぱられてどこかに連れ出された私は、怒りながら言いました。
連れ出したのは私をこの学園まで連れてきた侍女です。
「何度申し上げれば分かるのですか? あなたは『悪役令嬢』なんですよ」
彼女はどうやら私以外の人にも同じことを言っているようです。
それはよくないと思いますわ。
人を説得するときは、本人がどうしたいのかをまず聞くべきですわ。
「仕方ないではないですか。あなたはそういう役目なんですから」
だからその悪役令嬢って何ですの!? 私がそう聞くと、彼女は一冊の本を手渡してくれました。
その本には『乙女ゲーム』と書かれています。
……なるほど! つまり私はこの世界を『乙女ゲーム』の世界だと思っているのですね? 確かに今の環境はそれっぽいですわね。
私はさっそく表紙を開きましたわ。
表紙をめくると、そこには三人の女の子の絵が描かれていましたわ。
一人は私。悪役令嬢です。
もう一人はヒロインと呼ばれる平民の少女です。
そして三人目の女の子が、このゲームの悪役令嬢と呼ばれる公爵令嬢様ですわね。
「あら? この子のドレス……私の侍女が着ているものとそっくりですわね」
どうやら私はこの子になりきって学園生活を送るようですわ! まぁ、本物の悪役令嬢の私がいる以上、私のやることは特にありませんわね! 私が彼女にそう言うと、彼女は怪訝な顔をしました。
「何を言っているんですか? あなたはその悪役令嬢らしく、ヒロインの邪魔をするんです」
彼女が言うには、公爵令嬢様の婚約者である隣国の第二王子が、平民の少女に恋をして、彼女を追放して結婚する予定らしいのです。
つまり私は悪者になって没落しろとおっしゃるわけですわね!
「まったくもう……。何で悪役令嬢のあなたはこんなにも.................。悪役のくせにこんなに元気が有り余っているのはあなただけですよ」
「あら褒めていらしてるの?おほほほ!」
「何を呑気なことを言っているんですか! あなたの名前なんて『バカ令嬢』で十分です」
侍女はそう言うと、私にでこぴんをしようのしました。
されてたまりますか! 私は間一髪のところで身をかがめて避けましたわ。
「避けないでください! あなたはヒロインに嫌がらせをするためにここにいるんですよ?」
「無理ですわ!」
そんなやりとりをしていると、彼女の後ろから、金髪碧眼のとんでもないイケメンが出てきました。
侍女はすかさず頭を下げて、メイド服のスカートのすそをつまんでいる。
どなたでしょうか..............?
「やあ、この国はいつ来ても平和だね。 それに君の隣の子も...........」
後にこの方が第二王子で、なんと脇役である私を溺愛するだなんて、夢にも思いませんでした。