あらすじ
そして今日、王太子妃になる予定だったミリアは婚約破棄され、隣国の公爵令嬢に見事に寝取られてしまった。
この一年をどう過ごすかと言うと……。
「ざまぁ展開ね」
私がそう呟いた瞬間だった。
私の立っているすぐ横が突如燃え始めた。
「え?」
驚いて振り返るとそこには火に包まれた鼠がいた。
「これは……『炎鼠』の魔法かしら?」
私は自分の周りを見回す。すると私をぐるりと火鼠が取り囲んでいた。
私は口の端を吊り上げる。
「まさか……ね」
◆◇◆◇◆
私の名前はミリア・ユーフェミア、伯爵令嬢で王太子殿下の婚約者だったのですが……。
今日王太子殿下に婚約破棄されてしまいました。
「なんで私が悪役令嬢なのよ!」
私が廊下を歩いていると後ろから突き飛ばされたのです。そこには見目麗しい女子生徒がいましたわ。その人がミリア嬢という方らしいです。
ミリア嬢は私を睨みつけるとこう言いましたわ。
「貴女のような悪女が王太子殿下と婚約するなんておこがましいのよ」
それから私を突き飛ばし、居合わせた方々に私の悪口を吹き込んでいきました。私はあっという間に悪役令嬢になってしまいましたの。そしてあの婚約破棄ですわ!
「納得できません!」
私が憤慨して声を上げると彼女はまた魔法を飛ばしてきました。彼女の周りには沢山の鼠がいますわ。
「『炎鼠』……」
中級の魔法ですが、その威力は侮れません。私は水の魔法を使い、相殺を試みました。ですが……。
「駄目ですわ! 私の魔法が消されていきますの!」
そうしている間にも私を取り囲んだ鼠はどんどん増えていき、逃げ場がなくなりましたわ。
◆◇◆◇◆
炎に包まれている令嬢を見て私はため息をついた。
「ざまぁ展開って悪役令嬢が魔法を使って鼠を撃退するシーンじゃないの? なんで自分で燃えてるの?」
私がそう言うと鼠たちは魔法を解除して去っていった。
「やはり貴女の仕業でしたのね……」
鼠がいなくなった廊下にはミリア嬢と私だけが残された。彼女は私を見るなり、キッと睨みつけてきたわ。
「貴女……何者ですの?」
何者と言われてもねぇ……。私は悪役令嬢に転生した元OLだよ。今はその悪役令嬢をやってるよ。つまりこれは私自身による復讐劇って訳で……。あ、前世から引き継いだ復讐だったわ。うーん……複雑ね。
「私は何者でもないよ。悪役令嬢とだけ名乗っておこうかな?」
「あ、貴女が……悪役令嬢ですって……?」
ミリア嬢は私を頭の先から足の先まで舐めるように見たわ。彼女は少し顔を青ざめさせて叫んだわ。
「貴女みたいな子供が悪役令嬢のはずがないわ! 私はヒロインなのよ? 私が幸せになる運命なのに……」
「ちょっと何言ってるか分かんない」
このヒロイン気取りのバカ女は一体何を言っているのだろうか?