あらすじ
「……婚約破棄された悪役令嬢ですけど、あれ、もう一度言ってくださいませんこと?」
「うわびっくりした。なんだよ突然」
いきなり話しかけられた。
クラスメートのクリスティーナ・アーネストだった。
彼女はウェーブのかった金髪ロールに青い瞳をした美少女だ。見た目だけならいかにもな高貴なご令嬢で近寄りがたいが、中身は好奇心旺盛な庶民派である。
ちなみに俺も王族なので実はそこそこ高貴なのだが俺に至っては親しみやすいとよく言われる。
「あらごめんなさい。何か用かしら?」
クリスティーナはそう聞きながら、俺の隣の席に座った。
「ちょっとあなたのお耳に入れたいお話がありまして」
クリスティーナはにこりと笑う。
こうして見ると高貴な令嬢そのものだ。立ち居振る舞いが優雅で気品がある。しかしそれは外面だけで、中身は庶民派であることを俺は知っている。なぜなら彼女は悪役令嬢だからだ! いやこれ名言だなと思ったのはここだけの話だが。
そんなクリスティーナだが、最近は特にご執心なことがある。
「お前最近婚約破棄の本ばっかり読んでるよな」
「なっ! なんでそれを!」
クリスティーナがなぜかあせっている。
「いや、普通に分かるだろ」
「そんなことありませんわ! わたくし誰にも言ってませんもの!」
いやバレバレだって……。
そんなやり取りをしていると、クラスの中で一グループだけ異様な雰囲気を出していることに気づいた。
そのグループは全員女子だ。そして全員が仮面をつけていた。
そう、それはこの王立魔法学院で今話題となっているあるクラブの活動である。
「えっ、彼女たち、読書クラブなのか?」
「そうですわ」
クリスティーナはなぜか偉そうに言った。
彼女によると、仮面を付けているとはいえ、それぞれ有名人なのですぐに分かるらしい。そして読書クラブの活動場所も近いので自然と一緒に行動するようになるという。