あらすじ
「人の心って天気に左右されやすいんだよね」
教室の窓際最後方、この間の席替えで僕の後ろにやってきた空木は燦燦と降り注ぐ太陽の光を浴びている。
「だったらその逆もあり得ると思わない?」
かたん、と音がした。
窓の桟に立てかけていた僕の傘が倒れた音だ。
教室には次々とクラスメイトが入ってくる。その全員が一様に結ばれたままの乾いた傘を手にしている。当然だ。
天気予報によると、現在この町の降水確率は百パーセントなのだから。
「人の心に、天気が左右される」
空木は満足そうに頷いた。
「私の気分で天気が変わるの。私が悲しめば雨が降るし、私が怒れば風が吹く」
「空木さんに良いことがあれば快晴になる」
「そういうこと」
そういうことって言われても。
「そういえば今度の文化祭、うちのクラス演劇やるらしいよ」
「ああ、『白雨姫』だっけ」
「そうそう。誰がやるんだろうね、お姫様」
僕はこっそり心の中で誰に投票するかを決定した。
心模様が空模様な彼女と結果ぼっちな彼の青春短編です。