あらすじ
なぜ私が悪役令嬢なのか、その説明をしよう。
私には前世の記憶がある。
それを思い出したのは何歳の時かは覚えていないけれど、物心ついた時には自分が『フィリシティ・カラー』という乙女ゲームの世界にいることに気付いていた。
そしてヒロインであるリリアーナが、私――ロゼット・クレイアーに転生していることも知っていたのだ。
何故なら彼女は私の双子の妹だったから。
私はリリアーナとして生きていた記憶もあるし、ロゼットとして生きた記憶も持っている。
つまり二重人格ではなく、二つの人生を同時に体験していたのだから、混乱することもなく自然に受け入れられた。
さて、何故リリアーナが悪役令嬢になったのか。それは簡単だ。彼女が私を殺したからである。
正確に言えば私が彼女をいじめていたせいで殺されたのだが、そんなことはどうでもよかった。
大切なのは、リリアーナが私を恨んでいるということ。
この世界では双子は不吉な存在とされており、リリアーナと私が一緒にいることは許されなかった。そのため私たち姉妹は常に引き離され、会うことすらできなかった。
それでも、たとえ会えなくても、私たちはお互いを愛し合っていた。
だからこそ私は彼女に嫉妬した。
リリアーナの幸せそうな笑顔を見る度に胸の奥がざわついて、苦しくなった。
そして私は決めたのだ。
リリアーナが愛する人を殺すことを。
幸いにも私は魔力が強く、魔法を使うことが得意だったため、暗殺者になるのはとても容易かった。
そうして私は何度も彼女を殺そうとした。
だけどその度に邪魔が入った。
私が殺したいと思う人物の周りにはいつも優秀な護衛がいたからだ。
私より強い人もいれば弱い人もいるけど、彼らは全員が全員とても優秀だった。
それにリリアーナが彼らと親しくなるにつれて、彼女たちの絆も強くなっていった。
それを見て、私は何もかも嫌になって逃げた。
だって、もしも私が何かしらの手を使って彼女たちを殺せたとしても、きっとすぐに捕まるだろう。そうしたら処刑されてしまうに違いない。
そう思うと怖くて仕方がなかった。