あらすじ
母親を失った時、櫻井悠人(さくらいゆうと)は絶望の淵へと突き落とされた。
愛する人を失っただけでなく、これから生きていく理由も自信も、意義すらも失ってしまった。
いっそのこと、このまま朽ち果ててしまいたい。
気づけばそんなこと願ってしまうようになった悠人は、世界に何かを見出すことが出来なくなってしまっていた。
そんな彼の傍を決して離れない小さな存在が、今の彼を支え続けている。
櫻井美幸(さくらいみゆき)。悠人と共に半生を過ごしてきた、最愛の妹。悠人に残された幸福の象徴。
虚弱で儚さを身に纏う美幸は、母親を亡くし傷心している悠人を懸命に立ち直らせるために励まし続けた。
同じように母親を失ったはずの美幸が見せる献身に、悠人は癒えぬ傷に苦しみながらも再び立ち上がることを決意した。
母親を亡くし自身の足で歩くことができなくなってしまった悠人は、美幸に支えられながらも生きている。
悠人の高校三年目。同じ高校へと進学した美幸と肩を並べて歩くことに、どこか新鮮な感覚とその中でも変わらない日常の幸福を噛みしめていた。
だが美幸が成長していく姿に、悠人は振り払うことができない不安を抱えていた。
隣を歩くその横顔も、悠人に向ける柔らかな笑顔も、悠人の瞳には死んだ母親の面影と重なって映った。
桜舞い散る春の季節。
家族と生きる幸せな日々を抱きしめながら、悠人と美幸は共に歩む。