あらすじ
――クレイバ視点――
「やれやれ…セイナ様にも困ったものでございますなぁ…クレイバ様もさぞご苦労されていることでしょう」
私を気遣ってくれるこの男は、私が心を許す数少ない臣下であるフォルドだ。この男ほど忠誠心にあふれる男を、私は他に知らない。
「全く…平民にしてはちょっと評判のいい女だったから婚約者にしてやったのに、なんにも役に立ちはしない…出来損ないもいいところだ…裏切られるというのは、こういうことを言うのだろうな」
「ええ、その通りでございます、」
深く私に同意し、賛同の意を示してくれるフォルド。セイナに対する愚痴大会は、その後終日に渡り続いたのだった。
――セイナ視点――
「…」
たまたまクレイバの部屋の前を通りかかったら、なんとも大きな声で私の悪口大会が開催されているではないか。あの男は面と向かって何かを言ってくることはほとんどなく、陰でこうして誰かの陰口をたたく。それ自体は毎日の事なのでもはや慣れてしまったものの、この日の私は特別機嫌が悪かった。…それもこの男のせいなのだけれど、思い出すだけでも腹が立ってくるからなんとか思い出さないように心がける。