あらすじ
辺境の村フィニスに暮らす巫女のエスティアは、毎日、村の傍に聳える高い塔へ行って、祈りを捧げることを欠かさない。その塔には、建国の昔から、万物の長たる精霊王の眷属〈力ある御方〉が在るのだと信じられていた。 ある日エスティアは、塔からの帰り道に、傷ついた騎士レオンの治療をする。レオンは、テネブラエの亀裂という、建国の聖乙女と魔王とが戦った痕跡だとされる峡谷の付近で魔物に襲われたのだった。 それからしばらく後、エスティアの村が大群の魔物に襲われそうになる。 エスティアは〈力ある御方〉に助力を請おうと塔を上る。 が、最上階にいたのは、とても精霊王の眷属とは思えない、闇夜のような黒髪と昏い紅玉の眸を持つ、禍禍しい雰囲気の男――……聖乙女の魔法で永い時を拘束され続けてた、ヴァルガリアスだった。