あらすじ
「イーラルフ様、ナナ様を追放されるというのは本当でありますか!?」
臣下の一人であるアルーデンが、私に甲高い口調でそう詰め寄った。
「それがどうした?あの女は私の命に逆らったのだ。逆らえば婚約を破棄の上で追放すると警告までしておいたのだがな」
それは事実だ。あの女の方が私の警告を無視して、命令違反を行ったのだ。
「そ、それは臣民の命を無視しろというご命令でしたよね…?心優しき彼女にそんなことができるはずがありません…いやそもそも、王子自らが利益のために臣民の命を見捨てることこそ問題なのでは…」
なにやら今日は食い下がってくるアルーデン。普段は私のイエスマンであるはずの男が、今日はやけに素直ではない。
「なんだアルーデン。普段は私の言う通りにするから目をかけてやっているのに、お前も私にか逆らうのか?それならおまえにもここから出て行ってもらうよう命令をしなければならなくなるぞ」
ここまで言えば、たいていの者たちは私の権力の前にひれ伏す。…しかしアルーデンはまだ納得しなかった。
「…ご自分が何をしたのか…分かっておいでなのですか…イーラルフ様…」
甲高い口調はどこへやら、今度はやけに低いトーンで言葉を発する。
「別に何でもないだろう。あの女に何の価値もない。だからここから追放してやったのだ。それだけの事であろうに、なにをそこまで食い下がる?」
そこまで告げた時、アルーデンはようやく本心から話を始めた。
「…彼女を追放してしまえば王国の大地はみな干上がり、全員水に飢えて死んでいくことになります…そ、それは避けなければ…」
その告白を聞いた途端、私は笑いをこらえきれなかった。
「はっはっは!なんだその宗教じみたセリフは。大地が?干上がる?水に飢える?お前なにかファンタジーでも読みすぎたのではないか?はっはっは!」
「…もういいです。ここまでのようなので」