あらすじ
「大丈夫だよユフィ。僕はずっと君のそばにいるからね」
その言葉だけを聞けば、仲睦まじい二人の関係であると思うかもしれない。けれどこの二人の本性を知る私にとっては、ああまたか、と思わざるを得なかった。
「…私あまり覚えていませんが、お兄様の記憶は心が覚えています。お兄様の事を考えると、暖かい気持ちに包まれるのです。これはきっと過去の私が今の私に残した、宝物のようなものだと思うのです」
兄であるライアンの手を取りながら、ユフィはそうつぶやいた。彼女を溺愛している彼に、その言葉を疑えという方が無理なのかもしれない。
「そこまで言ってもらえて、僕は幸せ者だ。…ナーリ、君の話は出てこないという事は、やはり君は彼女を虐げていたのではないか?彼女が記憶を失った事にも関係があるのではないか?」
そう、彼女は私に嫌がらせを繰り返す中で、自分の悪事がばれそうになったためにこんな手を取ったのだ。彼女の作戦は完全に成功し、追及を逃れることばかりか一段と深く兄のライアンを味方とすることができたのだった。
私は何も告げずにその場を後にした。その後すぐにライアンもまた彼女の部屋を後にし、そのタイミングで私は再び彼女の部屋へと呼ばれた。
「あーあ。せっかく私を追い詰められるチャンスだったのに、残念だったわね」
ライアンがいなくなった途端のこの態度。
「やっぱり嘘だったのね。それをあの人が知ったら何と言うか」
「知るはずがないじゃない。馬鹿にしないでね。そんなミス私がするわけがないもの」
ここではそう言う彼女。けれど私にははっきりと勝算があった。