あらすじ
それは、梅雨に入ったばかりの小学校からだった。
その教室では、将来の夢を作文にして書く事が授業になっていた。
皆一心不乱に、自分の将来を思い浮かべ、書いていく。
その夢は様々で、自分はその夢では何をしているかを想像しながら書いていく。
しかし、この中で、鉛筆を持たず、作文用紙には、何も書いていない状態の男子が居た。
彼は困っていた。
何故なら、彼は、夢などを持った事が一度もないうえ、親に、将来の夢は偉い人、立派な人物を強要されており、それ以外を選ぶ事は、禁忌と言っていい程の勢いで、怒鳴りまわされた事のある彼にとっては、それは拷問でしかなかった。
そして、とうとうチャイムが鳴ってしまい、彼はどうして良いか本当に困った。
その後の休み時間では、夢について話し合ったりしていたが、彼だけはその輪に入る事が出来ず、皆は彼を囲んで作文を書けなかった事をバカにし、耳をふさいでも、それを強引に開けて、悪口を言うと、彼の心に、ある感情が生まれようとしていた……