あらすじ
いつものように川縁の道を会社に向かい歩いていただけだが、空気感が違う。
家を出た時間も乗った電車も同じなので出会う顔も同じ。
綺麗な顔があれば、そうでない顔も多い。
馴染みなのだ。
いい加減規制を強化して欲しいと願うが、歩き煙草をする人の顔も同じでウンザリする。
煙草呑みが擦れ違うと朝の空気が穢れる。
風があればマシだが、無風なら長時間……。
が、それもまた馴染み。
忌々しい馴染みではあるが……。
空気感の違いは消えずに残る。
春も近い冬だが、ねっとりとしている。
喩えてみれば何だろう。
巨大な動物の腹の中にいるような感覚か。
そういった感じのねっとり感。
覗けば、川の水もサラサラではない。
雷雨後の川のように土色に濁っているのではない。
澄んだ川面には近くの家や枯れ木が映る。
表面が漣立てば、家や枯れ木が揺れ、千切れる。
それは同じ。
が、どこか、ねっとりとしているのだ。