あらすじ
リトス王国宮廷魔導師の家系に生まれたエルミーヌ・サフィール。しかしエルミーヌの生まれ持った魔力は人間離れしており、まともに魔法が使えず制御もままならない有様で、それゆえに宮廷では「サフィール家の秘宝」という陰口を叩かれていたほどだった。 魔力の暴発を恐れて友人もできない日々を、エルミーヌは家に引き籠もってレース編みに没頭していたが、ある日突然やってきた竜生人《ドラゴニュート》の男性イオニスに堂々と宣言されてしまう。 「今からお前は私が貰い受ける」 イオニスはドラゴニア九子連合国の王の一人で、結局国同士の話し合いによってエルミーヌは強制的に嫁ぐことに。 ところが、竜生人《ドラゴニュート》と人間の習性の違いからすれ違い、エルミーヌはイオニスを拒絶して思いっきり魔力をぶつけてしまう。怪我をしたイオニスのために薬を求めるが、竜生人《ドラゴニュート》用の薬は高価で手が出ない。 そこで、今まで編んできたレースを質屋に売りに行くが、価値はないと断じられてしょぼくれる。しかし、「魔力を込めれば」と助言され、エルミーヌは有り余る魔力を込めることでレースの付加価値を大幅に高めることに成功した。 質屋の助言により、エルミーヌはその魔力と器用さを活かして魔導匠《マギストーン》という職人になることを決意する。すべてはイオニスのため、お金を稼ぐ。その目的を胸に、職人の道に入ったエルミーヌは、思わぬものづくりの楽しさに目覚めていく。 とはいえ、王妃にも等しい身分で職人をするのはご法度、隠し通していたが、ある日ついにイオニスに怪しまれ、叱られてしまい——。