あらすじ
「探し屋」を営む宗助は、ある森の深くに失せ物を取りにいく。 不気味で不思議なその森には、人々が失くした物が、いつのまにか集まっている。 その仕事の先に宗助は「ほんとうの失せ物」を知る。 あたたかくもすこし怖い、現代ファンタジー。 * * あなたは大切なものを なくしてしまったことがありますか あなたは大切なものを 懸命に探したことがありますか 月の光を頼りに――落とした鍵を 古びた箪笥をのぞいて――昔の写真を 借りたままになっていた――文庫本を けれど 簡単には見つからなかった どこを探しても見つからなかった そうやってなくなったものが どこにゆくのかを知っていますか 忘れられた私たちの所有物が どこにゆくのかを知っていますか