あらすじ
「お姉様にぴったりのお相手だと思います!こんなにめでたいことはないわ!」
「…」
私の前で、やけにテンションを高くしているユアリス。…それもそのはず、彼女にとって私の不幸は自身の幸。
私が押し付けられたトレイスと言う男性は、それはそれは一帯における評価の低い人であった。どこからともなく借金をしては女遊びに明け暮れ、たくさんの子どもを妊娠させ、あまつさえその子供たちを容赦なくおろさせる、女子供にも自分が気に入らない相手であれば容赦なく手を上げる、臣下の者たちは毎日のように彼の元から姿を消す、と言った具合に、それはそれはまともな人物であるはずのないようなものだった。
「お姉様のようになんら特徴のない方であっても、あのような刺激的な男性と結ばれれば、必ずやお姉様も潜在的な魅力が引き出されると思いますわ。もとからそこまできれいでもないそのお顔も、彼にあざのひとつでもつけてもらえばそれはそれは美しい姿になる事間違いありません」
「…」
そんなに私の不幸が楽しいのか…?自分の妹ながら、本当にいい性格をしているなと常々思う。
…しかし、ここで私が折れることこそこの女の思うつぼ。彼女に一泡吹かせたかった私は、捨て身の決心をした。
「…ありがとう。婚約者を見つけてくれて。私は必ず彼と幸せになるわ」
「…!?」
…彼女はきっと、私が自身に泣きついてくると信じて疑わなかったのだろう。やや動揺したような表情を浮かべている。
「…そ、そうですか…そ、それは私もうれしいですわ…そこまで喜んでいただけるなんて…」
この捨て身の決心が、のちの未来形成に大きくかかわることになる。