あらすじ
「ただでさえ甘んじて受け入れた婚約だというのに、僕のいう事も聞けないなど論外だな…」
自らが政略婚を企てておいて、都合が悪くなったためにこのような事を口にし始めたのは、クシアード伯爵だ。彼の前に令嬢は力を持たず、彼の意思にただただ従うほかなかった。
「旦那様、私からもご提案させていただきます。やはり彼女は、旦那様のお相手として不相応かと…」
しかしこのままそれを認めてしまえば、クシアードに間違いがあったことを認めることになってしまう。プライドが高く周囲からの評価を異常なほど気にする彼に、そんなものをうけいれられるはずはなかった。
「…悩ましいな…いっそのこと、みずから消えてくれればいいのだが…」