あらすじ
永い眠りから覚めたドラキュラである吾輩は、血を吸おうと人間の声がする方へと向かった。 そこで一人の女と出会い、いつも通り襲い掛かって血を吸おうと思った。しかし―― 「ひゃあ!! びっくりしたあ。……ドラキュラの、コスプレ?」 「えーなになにー。私の血が欲しいの? ハロウィンだからってそこまでなり切っちゃう?? ノリがいいなあ、もう。ハッピーハロウィーン」 ――この女は、いつもの女とは違うようだ。 「ねぇねぇ、その牙すごいよく出来てるね。見せて見せてっ」 どこまでも陽気でマイペースな女と話しているうちに、吾輩の威厳など見せる間もなく飲み込まれていく。 そしてだんだん腹の中がむずむずしてきて、心臓が苦しくなってきた。 こんなことは初めてだ。何か魔法をかけられたのかもしれない。 まさか、吾輩の方が先にやられるなんて……もうこの命も長くはないのかもしれない。 ――ハロウィンの日、ドラキュラの俺は、それが初恋だとは気付かない。