あらすじ

「神です、救ってください」 店に入るなり開口一番ぶっとんだことを言い放ったのは、今私の前でカウンターに腰かけている自称『世界救世神』。世を忍ぶ仮の名前はメシアさん、らしい。 ボサボサの髪に不精ヒゲ、イバラを編んだ丸い冠。 着ている服は白い法衣のようなもので、その容貌は控えめに言って胡散臭い。 「えっと、救ってくださいというのは?」 とりあえず水を差しだし、メシアさんの話を聞くことにする。 自称救世神は水を一気に飲みほすと、ふうっと息を吐いて顔をあげた。 「このお店は悩みごとを何でも聞いてくれるという噂をきいてね」 うちは私とごく少数のスタッフで経営している、小さなスナックだ。 確かに私はよく悩みごとの相談を持ち掛けられる。 まだ三十歳にもなっていない人生経験の浅い小娘だけど、ハッキリした物言いが受けたのか、クチコミで評判が広がっているらしいのだ。 今夜はスタッフは私一人で、今のところお客さんもメシアさんだけ。とりあえず彼の悩みをじっくり聞いてみることにしようと、カウンター越しに向かい合う。 「そうね、それじゃあ……。とりあえず、救ってくださいってことは救って欲しい悩みがあるんでしょ。良かったら話してくれる?」 「はい。これは東京都こころのお悩み相談電話室にも相談したことなのですが……」 「電話したのかよ!」 この救世神、予想以上に社会のセーフティーネットを活用しているようだ。

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小説を読もう2023/10/23
  • 現在の作品神様は救って欲しい