あらすじ

「ラレミーナ、君は第二王女であることを良い事に、鍛錬をないがしろにしたばかりか王国の財宝をくいつぶしているそうだな。そんな君にここにいる権利はない。婚約の話とも合わせて、すべての関係を破棄の上に追放とさせてもらおう」

 そんな事実など全くないというのに、それを事実であると信じ切ってしまっているグラーゼ王子。それもそのはず、彼は溺愛する妹であるアルシェナから、直接にその話を聞いたためだ。アルシェナは王女として婚約が内定したラレミーナの存在が面白くなく、その権力と立場を追い落とすためにありとあらゆる手段を使って攻撃を図っていた。王宮の中では、彼女に少しでも逆らえば追放というありえないような状況が現実のものとなっており、そんな彼女に目をつけられたラレミーナもまた、こうして失脚を狙われていたのだった。

「し、しかしグラーゼ様…私には前世の記憶を覚醒させて人々を幸福へと導くという使命があります…それを放棄してしまうのは、多くの人々の期待を裏切ってしまう事に…」

「そんなものはもうどうでもいいんだ。どうせ無理なのだろう?アルシェナが言っていたのだから間違いはない。結局君は聖女の記憶を呼び覚ますことなど、できはしなんだ。それさえ理解できたなら、もうどうだっていいんじゃないか?」

 乱暴な口調でそう話す王子に、取り付く島もない。ラレミーナは一応その場において身を引き、落ち着いた後になって再び会話を試みたものの、一度この状態になってしまった王子になんの策も無意味だった。

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