あらすじ
二◯二二年、三月十二日。
林真記介は三十四歳の誕生日を迎え、旧友の結婚披露宴の場で高宮万里の死を知る。
十一年前の震災で行方不明になったという万里は、真記介の高校時代の親友で、ともに強豪吹奏楽部のフルート奏者として切磋琢磨した仲間だった。
途中退部してプロ奏者になり、早くに妻子を得た万里。
部長として最後までやり抜き、その後は楽器に触れることもなくなった孤独な無職の真記介。
もう永遠に交わらないはずのふたりの人生だったが、突如として現れた万里の娘・サクによって、思いもよらない方向へと動き出す。
「私はいまの出来事をなかったことにできる。それだけじゃなくて、間違った過去を修正できるの。私なら、全部」
タイムトラベラーを自称するサクは、その不思議な力で真記介の人生と世界をつぎつぎと変えていった。
「おまえ、また俺の人生変えただろ!」
「いいでしょ、べつに。ていうか前よりいい思いしてるでしょ」
「あ、まあ、はい。わりと」
なんだかんだで忙しく、しんどいけれどちょっと楽しい日々を満喫する真記介。
だがその先には、いまこそ立ち向かうべき過去と真実が待っていた——。
(※東日本大震災、新型コロナウイルスによるパンデミック他、現実の世界情勢等を反映した描写があります)