あらすじ

「……なんとかならないかも」 新入生の月波幸人(つきなみゆきと)は、新たなる学び舎を目にして、思わずそう呟いた。 沼黒高校。通称「ヌマ高」。 神奈川県最低の偏差値と、神奈川県最強の暴力を誇る、有名な悪ガキ高。 酒類の空き缶やシケモクが落ちていたり、壁に落書きがしてあったりなどは当たり前。 生徒のほぼ全てが、腕力しか取り柄の無いバカなヤンキー。毎日校内のどこかで必ず暴力沙汰を起こし、校外ではカツアゲやケンカがライフワーク。 まさしく、スラムのごとき底辺高であった。 「普通の少年」である幸人は、「とある事情」で学力が低かった。それが原因で、ヌマ高に入学することになってしまった。 幸人はケンカをしたことが無く、格闘技の経験も皆無で、おまけに華奢で小柄な体格。どう考えても、腕力自慢の不良相手に勝てるスペックではなかった。 不良達のパシリにされて卒業までこき使われる未来しか思い浮かばない。 「なんとかなる」が口癖の幸人もさすがに暗い気持ちとなった。 そんなふうにヘコんでいた時だった。 「なんとかなる、かもしれないよ?」 幸人はライダースーツを着た謎の美女、黒河桔梗(くろかわききょう)と知り合った。 気さくな口調と態度のおかげで、幸人はすぐに仲良くなる。 幸人は彼女に、自分の置かれている悲惨な現状を打ち明けた。 そんな幸人に対し、桔梗は一冊の古い文庫本を渡してきた。 それは『五輪書(ごりんのしょ)』——あの宮本武蔵が晩年に書き遺した、有名な兵法書だった。 桔梗は言った。その『五輪書』をヒントに、ヌマ高という不良の巣窟を生きてみろと。 「なんとかなる、のかなぁ……」 文庫本一冊で本当になんとかなるのかと、幸人は懐疑的な気持ちになる。 しかし——なんとかなってしまう。 『五輪書』に記された「兵法」の数々は、幸人に降りかかる修羅場を払い除ける強力な武器となった。 いじめっ子、ヤンキーの群勢、暴走族、有名なケンカ屋…………幸人は武蔵の遺した兵法の数々によって、それらの強敵を次々と手玉に取っていく。 ヌマ高最弱レベルの腕力であるにもかかわらず、幸人はヌマ高での地位を怒涛の勢いで高めていくことに…………。

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カクヨム
カクヨム2022/08/22
  • 現在の作品もしも県内一の底辺不良高校に入学してしまった「普通の少年」が宮本武蔵の『五輪書』を読んだら