あらすじ
テレビや冷蔵庫、エアコンといった目的別に作られたモノの目線で見たときに何を感じることができるのかを学べる『創造未来研究所』という施設がオープンした。海沿いに建設された施設で見晴らしがいいことでも注目を浴びた。最近ドラマのワンシーンにこの建物が映ったこともあり一役有名になった。 大学二年生の春、彼女と一緒にこの施設に遊びに行く約束をした。 モノであれば何でも体験できると事前の情報収集で聞いていたので、僕は大好きな『時計』の体験をすると決めていた。 人気スポットということもあり、現地はモノ体験を楽しみにしている人たちで賑わっていた。ドラマの影響なのかフォトスポットやカフェもオープンしており活気に満ち溢れていた。テラス席でコーヒーを飲んでいる老夫婦は潮風が心地よく快適なのか話に花が咲いている様子だ。 大通りを抜けた先に施設が建っている。三階建てで窓には鉄格子が張り巡らされ、建物の周りには電気柵があった。先程までの和やかな雰囲気と異なり、一気に研究所感が出てきた。心地よく感じていた風も当たりが強くなってきたように感じる。これからどんな体験ができるのだろうか…… 一階にある受付で時計体験をしに来た旨を伝え、体験室に向かった。 体験室に到着し、両開きの扉を開けるとそこにはカプセルが用意されていた。 「どのモノがお望みですか」 俺は迷うことなく自分が大好きな『時計』と答えた。 「プシュー」 機械音と共にカプセルの入口が自動で閉まり、ついに体験プログラムが始まった。