あらすじ

2020年、新型コロナウィルスで日本中が大打撃を受けた。 最初のクラスターが新宿歌舞伎町であった。コロナ関連のニュースで連日連夜「新宿悪」「歌舞伎町悪」とメディアで報じられた。そのせいで歌舞伎町の中は、かつて見たこともないような休業、廃業、テナント募集の貼り紙で溢れかえってしまった。 人も消えビルの袖看板も空白が目立つ。 三十五年近く歌舞伎町の中にいて初めての光景に、三十年来の床屋のマスターと瀬野哲也は瀕死の歌舞伎町を嘆く。 1980年代半ば、17才で瀬野哲也は「普通に生きる」という生き方がイヤで「普通が一番よい」と考える父親とソリが合わず家出をする。歌舞伎町で「月給45万円」という求人を見つけ応募する。ところが、そこはボッタクリヘルスであった。 身分証や履歴書が無くてもその日から働けてしまうこの街のルールに驚きながらも、35年前のバブルで沸く歌舞伎町のアングラ業界を哲也は回遊し始める。 そこで出会う大人達のイカレっぷりと、バブル経済も相まって金が溢れた歌舞伎町にどんどん魅了されていく。そして、この街で一攫千金を夢見るようになる。 哲也は、どんな金でも金さえ持てば手に入らないものはないと信じて疑わず、付き合っていた彼女にプロポーズをする。その彼女には貴方の嫌いな「普通の生活」がしたいとフラレてしまう。 中卒で裸一貫、4億の豪邸まで建て瀬野哲也の人生の流れを大きく変えた金主の土建屋社長の自殺。 70才を超え、人生の終盤ですべてを失った社長の自殺に人生などわからないものだと痛感する。 彼女が言う普通の暮らしをする上で「鉄板の人生」だと信じて疑わなかった、富士銀行の消滅。 この街で出会う様々な人間が消えたり、復活したりと人生など本当にわからない。 ありきたりではあるが、未来にはなにも描かれていない。自分で「今」を書き込んで昨日と今日を繋げていくのだ。 2019年に翌年の2020年の日本が新型コロナウィルスでこんなふうになるなんて誰も予想できなかったはずである。日本全体がボロボロになった。 人生において、理不尽な壁に出くわすこともあるだろう。 自分には、なんの非がなくともズタズタにされることもあるだろう。 それでも、そこでずっとしゃがみ込むわけにはいかない。 未来に向けて自分の可能性を信じ、往生際の悪い戦いを挑んでやろう。 35年前の歌舞伎町から教わったことがある。 人生なんてわからないものだ、という話をするとなぜだか悪い話ばかりになりがちだ。 だが、人生なんてわからないもだというのであれば、大逆転するような奇跡が起きてもなんら不思議ではないのだ。 最後は強い気持ちだ。キモチの勝負であるということを。

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カクヨム
カクヨム2023/11/24
  • 現在の作品2020年、春に届いた1980年代~の歌舞伎町からの便り