あらすじ
「ジュレス様、妃の候補はまだ決まっていないのですか?」
騎士王でありジュレス第一王子の側近でもあるロヒトが、そう言葉を発した。
「考えてはいるのだが、なかなかに難しい。誰かさんがお重めを起こしてくれたおかげだな全く」
やれやれという様子でため息をつくジュレスと、それを見て同じ態度を見せるロヒト。
「セリーナ様の事ですね?確か婚約妃候補でありながら、第二王子とも関係をもってジュレス様をとの関係を不意にされたとか」
詳しくはロヒトも知らないのだろう、そのように言葉をかけるほかなかった。
「ああ、その通りだ。あの女は一方的に第一王子である私を裏切ったのだ。これほどに重い罪はほかにはないだろうが、寛大な私は追放という処置にとどめておいてやった」
その一件に何か裏がありそうだ、と感じていたのは他の誰も同じであったものの、第一王子の権力を前にそんなことを口に出すことは誰にもできないのだった。
「…まぁ候補に動きがあればまた知らせる、それまではお前が気にする必要はない」
「承知いたしました」
ジュレスのその言葉を聞き届けたロヒトは、そのまま丁寧にその場を去っていった。残されたジュレスは誰に対してでもなく、ボソッとつぶやいた。
「…もう時間がないかもしれないな…正体を知ってしまったのだから…」