あらすじ
空にかがやく虹色の環が浮かぶ、大雪原におおわれた惑星での物語……。 周囲の人々を幸せにするのが大好きな男、アレン・フィックスドフラワー。 彼は、残酷な男、ゾルハの『殺戮卿』に命を奪われた。 ゾルハはアレンの一人娘であるキティを妻とするために動き始める。 キティもまた父の仇であるゾルハを倒すため立ち上がるのだ。 強大な『殺戮卿』を倒すため、彼女に残された唯一の可能性……。 それは父から託された『漆黒の指環』に宿った『鉄腕』の物語。 「私を守ってくれる『騎士』さまに、この指環を戻します」 歴史の叙述は不完全であり、忘れ去られた記憶があった。 150年前、漆黒の指環の持ち主たちは戦いの最中にある。 『鉄腕』の絶対的な力を使い、仲間を守り抜く少女……。 少女のとなりに立ち、刀を振るう少年。 二人は強いが、敗北の運命の最中にあった……。 『存在したことさえ消し去る究極の兵器』。 『命も記憶さえも奪って喰らう最悪の兵器』。 『歌喰い』。 その襲撃が迫る中、二人は最後の時間を過ごす。 歴史を見守る虹の下、二人は敵と戦い、仲間と別れ……。 死が迫る戦いの中で、記憶と感情は少女に愛を教えてくれる。 雪に呑まれた場所で、かつて少年と出会ったのだ。 敵対する山賊たちは凍死しながらも、この少年を守ったことを少女は知る。 助けられた少年は、少女と共に過ごし、思い出を重ねた。 多くを知る。 身分の与えた義務のため、『鉄腕』を継ぎ、英雄として戦う少女の運命も。 彼女が本当は英雄ではなく、別の夢を持っていたことも。 少年は、少女のために戦うことを誓った。 死がふたりを分かつまで。 抱きしめて、はなしたくない願いがあった。 だからこそ。 少女は運命を選ぶ。 記憶さえも奪う『歌喰い』に、少女は一人、『鉄腕』の力であらがう。 少年を守るため、凍てつく棺に閉じ込めて。 すべては『歌喰い』に燃やされ、誰の記憶にも残らったはずの物語……。 記憶さえ奪われた少年と、『空を裂く虹色の牙』の宿命を背負う少女が再び出会う時。 『鉄腕』もまた、この雪降る星に蘇る。 これは、『空を裂く虹色の牙と、鉄腕の雪』の物語。