あらすじ

冒頭より——

 舌先三寸で駆け引きするような、男女特有の小賢しい語らいは、彼女にとって陳腐そのものであった。誘蛾灯のような色香に基づく、本能を刺激する彼女が醸す劣情は、男を虜にするだけの説得力が背中越しにも感じ取れた。肩甲骨まで伸びる黒髪は、人工毛に引けを取らない真っ直ぐさと足並みの揃い方をし、時折吹き付ける風になびく度、コマーシャルに惹句がお似合いだ。身体の曲線を逃さない、肌と懇ろな服のおかげで、町を歩けば「耳目」の真髄を見た。澱に湧く虫が可愛く見えるほどの醜悪な眼差しが、彼女の全身をつぶさに捉え、外界であることを黙殺してそれぞれの趣味趣向をぶつける。他者を慮ることを棚に上げた衆目の醜さを承知しながら、私もまた彼女の動作に暑い視線を送っていた。拝んでも拝み切れない彼女の美しさを崇拝し、どれだけ稀有な存在であるかを語るに落ちた。

18時更新。

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アルファポリス
アルファポリス2023/11/13
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