あらすじ
「セレナ、今日が君の最後の日となる。せいぜいここを出た後も元気でいられることを願っているぞ。くすくすくす」
この人だけではない。周囲の人からも、決まって同じような言葉をかけられていた。
「…まぁ、無理もないか…」
この人たちは知らされていないのだ。私を追補する権限を持つエレクト様は、自身の失態からうまれた損失を私の責任だと言い張り、周囲の人々もまたそんな彼の意見に逆らえないのだ。
私が婚約者の立場にあった事も、彼にとっては都合がよかった。権力目当てに向こうから近づいてきたと言い逃れができる。それを理由にまとめて追放してしまえば、何も自分は悪くないという状況を完成させることができる。
「まだいたのか。権力欲しさに上級国民を誘惑するだの、汚らしいにもほどがあるな。ここを出て行ったあとは少しでも君が苦しみながら死んでいくところを想像させてもらうとしよう」
私はそんな言葉を投げかけてくる人々には何も言い返さず、静かにその場を後にした。