あらすじ
異様な雰囲気だった。
静まり返った教室でただ一つ、黒板の前に立つ少年が持つ、戦前によくあったような赤と青のコントローラーのついた携帯ゲーム機の出す電子音だけが響いていた。
「……あ、あの自己紹介……」
「うるさいッ!今いいところなんだ――あーあ、やられちゃった。君のせいだからね」
うろたえる教師に図々しくもそう言い放った少年は、クソでかため息をつくと肩を落として乱雑に、黒板に名前を書いた。
「癸亥明星っていいます。能力はまだ使えません。ここにはバカンス気分できました。この学校のトップ目指す気でいるので、そこんとこよろしく」
そんな、誰もがきょとんとしてしまうような自己紹介を平然と言ってのけた少年は、見まごうことなく世界のトップだった。
70年前の大災害をきっかけとして世界に不思議な力が現れた。超能力者の兵士を育成する国連特殊士官学校で、海和修樹は落ちこぼれの生徒だった。そんな海和たちの落ちこぼれクラスに――『世界最強』と呼ばれる超能力者が転校してきた。これは世界最強が引き起こす世界レベルのトラブルに、海和たちが巻き込まれていく物語である。
※作者は政府組織とかによくある難しい漢字が並んだ固有名詞が大好きなので(国際環境法人日本海洋生態系保存研究機構とか、巨大不明生物特設災害対策本部とか、日本超常組織平和友好条約機構とか)、作中にも長い名前を持った名詞が出てきます。なるべく抑えますが、ふわっと読み流していただければ幸いです。