あらすじ
僕こと蔵本真司(くらもと・しんじ)は十和田心(とわだ・こころ)に恋をした―のは良いが。 彼女は僕の心臓を掴んだ。心理的にも。そして。物理的にも。 これは後から名前が分かるのだが、彼女はハート・スナッチャーという化物であり。 彼女は僕の心臓に興味がでたらしい。 ああ。僕の命は危ない。でも惚れた弱みがあり。 僕は代替案として、実家の焼き鳥屋に連れていく。そこには鶏の心臓、ハツがある。 コイツで僕の心臓と替える訳だ。 僕と心は奇妙な関係を結ぶ。 心臓を非常食として狙われつつも、鶏ハツ串を提供することで、それを逃れる関係になった。 …お陰で僕のバイト代は全て心の腹に収まっていく。 そんな生活は大学生になっても続く。 僕たちは男女の関係になる。 世間で流布されている俗説に。彼女持ちの男性はモテるというモノがある。 僕もそのご多分に漏れず。同じ学部の後輩の新藤(しんどう)に纏わり付かれるが。 彼女は―祓い屋であり。ハート・スナッチャーである心を見逃せないと僕に告げる。 僕と心は対処を迫られる。 僕と心は有効な手立てを思いつかないが。 僕は決心をする… 『近い内に。私は彼女に襲われるでしょうね』 『…僕に出来ることは?』 『ない。精々私に心臓を差し出す事くらい。私は弱ってきているからね』 『弱ってきている?』 『だって。食事を鶏のハツで誤魔化ごまかしているんだもの。化物としての私は弱ってる。そこに祓い屋。これは絶体絶命の事態』 『僕は。君が死ぬのを見守るしかないのかい?』 『そうね。私が亡くなれば。君は心臓を狙われずに済む。その上可愛い彼女までついてくる』 『僕を見損なうなよ?今まで君に心臓を掴まれてきた男だぜ?』 『…命を差し出すの?』 『それが愛ってもんだろう?』 『私は―かつては貴方の心臓を食べてしまいたいと思っていたけど。今は惜しいのよ』 『あれ?僕が一方的に惚れているモノだと思っていたけど?』 『時ってのは恐ろしいわね。私のような化物の心さえ変えてしまう』 『愛されるのも良いもんだ』 僕と心と新藤の命がけの交渉が、今始まる―