あらすじ
ウェリス皇国では先頃、御代替わりがあった。 夭折した皇帝にかわり新たに国主となったのは、二十五歳の若さの公爵だ。 この新皇帝の皇妃候補として、トレノエル辺境伯の末娘アイリーンは皇都へ向かうことになる。 皇帝の命で、皇国内の四つの辺境伯領から、それぞれ皇妃候補となる令嬢たちが集められることになったからだ。 「選ばれなくてもいい」――父は言った。 (私が選ばれるわけがない)――アイリーン自身も思っていた。 なぜならアイリーンはまだ十二歳。 決して皇帝の妻にふさわしい年齢だとは思えなかったからだ。 けれども、皇帝シグルスが選んだのはアイリーン――……シグルスにはどうやら政治的な思惑もあるようだったが、一方で、「皇妃はかつては皇帝と対等の共同統治者だった」と言い、アイリーンに対し、「お前、やってみるか?」とさえ言い出した。 貴族令嬢ならば、政略結婚はあたりまえ。 より良い条件の結婚をつかむためにこそ、嫁ぎ先で夫に可愛がられるためにこそ、淑女教育というものは存在している。 そんな価値観に違和感をおぼえつつも、貴族として生まれたからには結婚を通して自らのつとめは果たさなければならない、と、そう考えていたアイリーンだったが、それだけではない民への献身の方法を目の前に示されて――……。 型破り皇帝とその幼妻、でこぼこ夫婦の波乱の国家運営は、はたして……?