あらすじ
銀河英雄伝説が好きで、自己流に書いてみました。 若きバルカ同盟軍中将ユリウス、バルカと中年の域に近づいたティロニア連邦軍少佐の二人ケイン・カイト主人公の長編物語です。 人類が、宇宙にその開拓の歩みを進めて数世紀の時が経っていた。 ルティア星系第三惑星アストラを首都星とし、ティロニア連邦という統一組織のもとに広大なる宇宙空間への順調な進出を遂げていた人類であったが、やがて辺境宙域諸星系においてティロニア連邦からの独立運動が生まれていた。 その動きは全宇宙世界を押し包み、辺境諸星系が結成したバルカ同盟とティロニア連邦との終わり無き泥沼の戦争へと発展していた。 長く凄惨で無慈悲な独立戦争の末、荒廃した両勢力の境界宙域には延々と要塞惑星を連ねた要塞戦線「壁」が築かれ、宇宙は目に見えぬ国境線により二分されることになっていた。 「ラヴェラン」と呼ばれる衛星軌道堡塁と惑星表面に設置された高エネルギー荷粒子砲とにより構成された重武装の要塞惑星は、宇宙空間に無類の恐怖を振りまく鉄壁の要塞戦線として宇宙空間に聳え立ち、侵攻の艦隊をその麓に寄せつけないでいた。 「壁」が築かれてから二五年。 ティロニア連邦、バルカ同盟の両勢力はお互いに「壁」の向こう側の宙域を侵すことができず、「壁」の間隙宙域の争奪戦という膠着し限定した戦闘だけが倦むこともなく続けられていた。 ティロニア連邦歴一五七年七月。 バルカ同盟軍が突如実行したシンガ要塞戦線の要塞間隙宙域コルドバ星系第五惑星パレルモに対する奇襲占領作戦は成功を収め、場当たり的なティロニア連邦軍の反撃逆降下作戦は無惨な敗北を遂げていた。 しかしその敗戦の中で、ティロニア連邦軍は一人の傑出した作戦家の存在を見いだしていた。 ケイン・カイトウ大尉。 第七艦隊司令部付けの情報分析将校であった彼は、圧倒的包囲下にあった艦隊に的確な脱出戦術を示唆する。 ティロニア連邦軍第七艦隊司令官ヤオ中将に見い出され情報分析班のリーダーに抜擢された彼は、コルドバ星系第五惑星パレルモ奪回作戦立案の命に対し、「壁」を打ち崩す奇策的新戦術を提案する。 そして、「壁」の向こう側のバルカ同盟においては、絶対的権力を有する執政官の弟、ユリウス・バルカが己の戦場に立ち向かっていた。 バルカ家の一員としてその責務を果たすため、そして、自分自身の存在の意義を確認するため、ユリウスはティロニア連邦軍に迎え撃つ。 しかし、ユリウスの敵はティロニア連邦軍だけではなかった。