あらすじ
あなたはいつもそうだった。
遠藤さくら(著)
健一!海が綺麗。洋子は言う。
さざなみの音だけが響く海岸線。
健一もわたしも幸福まっしぐらだった。
それがどうしてこんなことになったのだろう。
「テメーの旦那がこさえた借金なんだから妻が払うのが道理だろう!」
結婚詐欺とでもいうのだろうか・・・。
婚約を破棄されたわたしが行くあてはどこにもなかった。
わたしは、お金を稼ぎながら、水商売の道へとまっしぐらだ。
何がどうしてこうなったのか。今を生きるのに精一杯だった。
わたしはいまだに肌身離さず首から提げているネックレスがある。
女とは不器用な生き物で、新しい男へとホイホイ乗り換えるようにはできてはいなかった。
それだけ健一を愛していたのだろう。今となっては、やすうけあいはあてにならぬだ。
ある夜、健一を見かけた気がした。
わたしには、健一をとっつかまえて問いただす権利があるのだろうか。
酒の席での男達とは酒乱が多くて困った。たびたび受ける性的被害。
もう、イヤ。そう呟くと泣けてきた。
帰宅後、ポストを見ると、招待状が届いていた。
幸せそうな家族写真が映っていた。
新郎 佐藤健一殿 新婦 柳洋子殿
わたしは、目を疑いました。
柳洋子はわたしの名前だったからです。
招待状の日付に式場へ。
しかし、待てど暮らせど彼が現れません。
「馬鹿にしてー!!」
帰り際に、美しいチャペルにて結婚式が。
そこには、健一の姿が。美しい花嫁にキスをする。
わたしは憤りが頂点に・・・。
ペンダントを引きちぎり、彼へと投げ捨てました。
しかし、健一らしい男性は、そして新婦までがどちら様ですか?
わたしは、これまでの水商売の苦労がたたりその場に崩れ落ちました。
走馬灯のようにグルグルと回る。
健一!海が綺麗。洋子は言う。
さざなみの音だけが響く海岸線。
今は不幸のどん底だ。
病床にて、気がついたわたしへ
医師がいった言葉。
聞けば、医師は健一の友人だったと言う。
奥さんも大変だったでしょうに。
旦那に逃げられて、今は彼を忘れられずに、
逃避行中ですか。
挙句に大切にしていた、
ペンダントまでをも棄て去った。
あなたに残っているものは何でしょうかね。
いままで、医師だと思って話していた相手の
素顔は、見ると凍りつくような死神だった。
安楽死でもよろしいでしょうか?
わたしのくだした決断はひとつしかない。
わたしの婚約者はその死神だったのだから。
遠藤さくら