あらすじ
天正八年。傀儡子の海雨(13)は明智光秀の前で舞いを舞う。人形使いのことを「傀儡師(かいらいし)」と呼ぶのに対し、「傀儡子(くぐつ)」とは古来より海人族が伝承する筑紫舞いという舞いを高位高官や民衆に披露する漂泊の芸能者のことだ。何者にも縛られずに生きているが、金銭のために貴人に身を委ね、春をひさぐこともある。
共に旅する少年・伊佐(17)は、海雨の妹で足萎えの海帆(8)を背負い、姉妹を警護していた。三年前、雑賀で鉄砲隊に加わっていた伊佐は、幼馴染の少女を犯し殺した仲間に報復し、逃亡した。傀儡子の姉妹と出会い、従者として生きることになったのだ。
その夜、光秀は海雨を連れ去った。直後、明智主従は伊賀者に襲われる。返り討ちにしたが、海雨は賊に刺し殺される。光秀が自分の命を守るため、海雨を盾に使ったのだ。海雨に想いを寄せていた伊佐は、光秀に復讐を誓う……。