あらすじ
「ごほっごほ…」
「大丈夫かいエマ?こんなにも咳が続いていたら苦しくて仕方がないだろう…ごめんね、僕にはこれくらいしかできないけれど…ミナ、そんなところに突っ立ってないで替えのタオルを早く持ってきておくれよ」
この光景だけ見れば純粋な関係のように見えるかもしれないけれど、今病弱を装っている女は私から婚約者を奪った女であり、そんな女に心酔しているこの男こそまんまと心酔させられた私の元婚約者様だ。
「はい、分かりました」
愛あれてなどいなかった私は、どちらにも不要であるらしい。乱暴な言葉にガサツな態度しか向けられない私には、何ら存在価値などないのだろう。かねてから病弱を偽る妹の前に、周囲の人々はみな彼女の味方になり、私は一方的に迫害されえる生活を送ってきた。そしてその関係は今になっても終わることはなく、欲望に正直で飽き足らない彼女はついに私の婚約者に手を出した。それが嘘偽りのない真実なのだけれど、周囲の人々は変わらず彼女に味方をする毎日だ。